平成28年度の企業の経常利益は過去最高の約75兆円となり

平成28年度の企業の経常利益は過去最高の約75兆円となり、内部留保は400兆円を突破した。人手不足を背景に省力化投資などに踏み切る企業はあるものの、全体として設備投資が伸び悩み、内部留保は膨らみ続けている。企業が守りの姿勢を続けるだけでは「経済の好循環」は実現できない。

 24年12月に発足した安倍晋三政権は金融緩和や法人税減税などを通じ、企業の業績回復を後押ししてきた。企業がもうけを設備投資や賃上げにつなげ、個人消費を上向かせる好循環を実現するためだ。

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 だが、企業は投資に慎重な姿勢を崩していない。29年4~6月期の設備投資(金融・保険業を除く)は前年同期比1・5%増の9兆4506億円となったが、市場関係者が重視する季節調整済みの前期比増減率(ソフトウエア除く)は2・8%減で3四半期ぶりに減少した。

 小売り現場でのセルフレジ導入など省力化投資は目立つものの、「企業は他の投資を削り、全体として投資規模を拡大していない可能性が高い」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)。

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 内部留保は現預金だけでなく、簡単に取り崩せない土地・建物なども含まれる。企業からは「人口減少で市場が縮小する中、積極投資はできない」との声も漏れる。ただ、韓国などは内部留保への課税に踏み切っている。デフレ脱却に向け、企業の責任は小さくない。(田村龍彦)